ー世界へのDOORー

アメリカ留学経験済みの筆者が英語や留学、海外の文化等を紹介したり、自分自身が興味あるものをひたすら記すブログです。

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TED!ヨハン・ハリに学ぶ「依存症」に対する間違いだらけの知識

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涙を浮かべる目

みなさん、こんにちはこんばんは!Rinです!

今回は、TEDの動画を紹介します!

以前紹介したTED動画こちらになります。

頭良さそうにプレゼンをする方法!5つのテクニック

選択や決定をしやすくするにはどうしたらいい?

東大合格を目指したAIロボット!AIの可能性と人間に迫る危機

今回は、ヨハン・ハリというスイスイギリス系の作家兼ジャーナリストが
「依存症」について正しい見解を述べる動画となっています。

 

 

 依存症は、薬物中毒、アルコール依存症、スマホ依存症など様々な依存症がありますが、どの症状にもあてはまる、非常に感慨深いスピーチとなっています。
この記事で、

・依存症に対する新しい、正しい考え方
・依存症の人とどうやって向き合っていくか

を理解することができ、また考えさせられます。

 

TED!ヨハン・ハリに学ぶ「依存症」に対する間違いだらけの知識

この動画は15分弱となっています。
イギリス系のアクセントがあるため、イギリス英語に慣れていない方は少し聞きにくいかもしれないので、英語の字幕か日本語の字幕をつけて観ることをおすすめします!

www.ted.com

 

大切な人が依存症になってしまったのをキッカケに、依存症究明の旅へ

数年前、私の人生の大切な人が、中毒者になってしまい、どうにかして助けられる方法はないかと思いました。
そのとき、私は多くの基本的な問題に答えられないことに気がついたのです、
例えば、

「中毒は何が原因で起こるのか」
「なぜ私達は上手くいかないとわかっているこの方法を使い続けるのか」
「代わりになるような方法はないのか」

などです。


たくさんの書物を読んだものの、答えはみつかりませんでした。
そこでこう思いました。
「世界中にいる依存症を経験した人や、中毒を研究しているたくさんの人達に会って、話を聞けば、彼らから何かを学べるかもしれない」と。
そこで、私は旅をすることになったのですが、最終的に3万マイルもの旅をし、思ったよりもたくさんの人々に出会えるとは思ってもいなかったのです。

依存症に対する間違った考え 

旅を経て、私を本当に驚かせたのは、

「私達が知っていると思っている依存症に関する全てのことは間違っている」

ということです。


もし、私達が中毒、依存症について新しい証拠を取り入れ始めたら、
私達の薬物への方針以外にも、多くのことを変えていかなければなるのではと思います。
しかしまずは、私達が知っていると思っていること思っていたことについて話してみましょう。

皆さんはこう思っていると思います。
ヘロインに含まれる化学物質には依存性があり、使用していくうちに体がそれに依存し始め、身体的になくてはならないものになる。
20日を過ぎたときにはヘロイン中毒になってしまっている、と。

ですがこの話はなにかおかしいのです。

もし、私がTEDトークの会場を出て車にひかれ、腰の骨が折れたら
私は病院に連れて行かれ、多くのジアモルフィンを投与されることになります。
実はこのジアモルフィンはヘロインなのですが、路上などで購入雨するよりももっと優れたヘロインです。
なぜなら、ドラッグディーラーから買うものは汚染されているものであり、医学的に医者から処方されるヘロインの一部だけが純粋なものなのです。

気づいていないだけで、多くの人が大量のヘロインを摂取したことがあるはずです、
これが現実です、
私達が中毒にたいして思っていることが本当だとしたら、人々は化学物質の依存性にさらされていることになります。そして薬物中毒になるはずなのですが、薬物中毒にはなりません。
このことは慎重に研究がなされているんです。

もしあなたのおばあさんが、腰の手術を終えたときにヘロイン常習者になっていたら、あなたもきっと気づくでしょう。(会場 笑)

ネズミを使った中毒の実験からわかった、ある驚くべき結果とは・・・。 

こういった事実を学んだとき、とても変な感じがしました。なぜなら、私が教わった全てのことと間逆なもので、そんなわけがないと思ったのです・・・。


私がブルース・アレクサンダーという男性に出会うまでは・・。
彼はバンクーバーで心理学の教授をしていて、私達が中毒の問題を理解する大きな助けとなってくれた、大変驚く実験をおこなった人物です。

アレクサンダー教授の驚く実験というのは、ネズミを使った実験です。

ネズミをケージに入れて、2つの水のボトルを設置します、

1つは普通の水、
もう1つはヘロインやコカインを混ぜたものです。


私達がこれをみて思うのは、ほとんどの場合、ネズミは薬物が含まれた水を好んで、亡くなってしまうのではと。

70年代、アレクサンダー教授はこの実験を見てあることに気が付きます、
「私達はネズミを空のケージにいれている、薬物を使う以外他にすることがないじゃないか!何か別の方法をためそう!」と言いました。

そして、アレクサンダー教授は「ネズミの公園」というケージを作ることにしました。
中にはたくさんのチーズや、ボール、トンネルなどが入っていて、ネズミにとって天国のような場所です。
そしてそこには、多くの仲間がいれられました。つまり交尾もすることができます。

そして、「普通の水」と「薬物の混ざった水」の両方が設置されました。


ここからがすごくおもしろいところですよ!


なんと、
ネズミの公園では、ネズミは薬物入りの水を好みませんでした。つまり、ほとんど飲まなかったのです。


過量投与したものもいません。

1匹で孤立していた時の過量投与は100%だったのに、
幸せで他の仲間とつながりあえる環境ではそれが0%になった
のです。

この驚くべき発見から、アレクサンダー教授はこれはもしかしたらネズミだけに限ったことじゃないかもしれないと、思いました。

中毒ではない。「結束」と呼ぶべきなのだ。

幸運なことに、同じ頃同じ原理で人体実験が行われました

それはベトナム戦争です。

ベトナムでは、20%のアメリカ軍人が多量のヘロインを使用してました。

当時のニュースでは、このことがとても心配されていました。なぜなら、戦争が終わったら多くの薬物常習者がアメリカの路上にあふれかえると思っていたからです。


戦争が終わり、ヘロインを使用していた軍人たちはアメリカに戻ってきました。
精神医学の記録保管所で細かな研究が行われました。

彼らはどうなったのでしょうか?
彼らはリハビリ施設には行きませんでした。
過量投与をすることなく、95%の人がすぐに止めたのです。


もし化学物質の依存性の話を信じているとしたら、辻褄があいませんよね?
アレクサンダー教授は「なにか別の話が中毒にあるのではないか?」と思い始めました。

「中毒が化学物質の依存から来ていなかったら?」
「中毒にはケージが関係しているとしたら?」
「中毒が環境へ適応していることへの結果だったら?」


と考え始めたのです。

これにおいて、ピーター・コーヘンというオランダの教授は
「これはきっと中毒と呼ぶべきではない」と言いました。
「きっとこれは結束と呼ぶべきだ」と。



私達人間は自然に結束を必要とし、幸せや健康であるとき、他人と結束しつながります
もしトラウマにおちいったり、孤立してしまったり、人生に打ちのめされたりして、それができなかった場合には、何か安心させてくれるような別のものとと結束しようとします。

それは、ギャンブル、ポルノ、コカインであったり、大麻だったりするのです。

何かと結束しつながろうとするのは自然なことなんです。

それは人間として私達が欲しがっているもの
なのです。

中毒者になってしまったら、社会と繋がることができにくくなってしまう 

これにはとても著しい関連性があり、最も明らかな関連性なのが薬物の戦争です。

私はアメリカのアリゾナで、「私は薬物中毒者でした。」と書かれたTシャツを着せられ、1つの鎖につながれた女性囚人とともに、周囲の人達のやじを浴びながら墓を掘るという労働に同行しました。
彼女たちは刑務所を出たあとも前科がつきまとい、合法な社会で職を得られる可能性はほとんどないということになります。

世界中のどこでも私たちは薬物中毒者をこのようなレベルで扱っているのです。

私たちは中毒者に対し、恥をかかして前科を科します。そして私達は彼らとの間に壁を作り、再び接続することをできないようにするのです。

深刻な薬物問題を抱えていたポルトガルが、薬物利用を50%を減らした方法とは?

2000年、ポルトガルはヨーロッパのなかで最もひどい薬物問題を抱える国の一つでした。
人工の1%もの人がヘロイン中毒者で、毎年アメリカ流の対策をどんどん試していました。
彼らはアメリカのように、どんどん人を罰して、避難し恥をかかせました。それにより毎年問題は悪化していきました。

そこであるとき、首相と反対派の党首が話し合ったのです。

「もうこれ以上ヘロイン中毒者が増えたら国として成り立たなくなる。医者や科学者で構成された講師団をつくって、この問題を根底から解決してみよう」と。


そして、ホアオ・グラオという素晴らしい講師団が作られました。
彼らは新しい全ての証拠を並べて、こう言いました。

「大麻からコカインまで、全ての薬物を合法にしましょう。ただし……」
「中毒を止め、かれらと社会のつながりを断つために使われてきた予算のすべてを、彼等が社会と再びつながり機会をつくるために使わなければいけません」。


彼らが行った一番大きなことは、私達がしていることとは真逆のことでした。


つまり、中毒者のためにたくさんの仕事を作り、中毒者がビジネスを始められるように小さなローンを組めるようにしました。
最終目標としてポルトガルにいる全ての薬物中毒者に、毎朝ベッドから起き出さなければいけない何かを与えるようにしました。


ポルトガルで出会った薬物中毒者の人が私に言ったこと、それは
「目的を再発見できるようになり、もっと広い社会とのつながりや関係を再発見できるようになった」
ということでした。
こういった試みが始まり、今年で15年になります。
犯罪学のイギリスジャーナルによると、
ポルトガルの薬物注射の利用が50%減ったそうです。

50%ですよ。

中毒者を助ける方法。それは・・・。

私達は今様々な依存症にかかりやすい状況にいます。薬物だけでなく、買い物、スマホなどもそうです。
現代では、昔よりも過去にないほどつながった社会の中にいるのに、変だと思いませんか?

私はこう考え始めたのです。

私達が今持っているつながりや、持っていると思っているつながりは人間のつながりのパロディのようなものではないかと。


もしあなたが、人生の危機に立たされたとき、きっと気がつくかもしれません。
ツイッターのフォロワーはあなたを助けにはきてくれません。
フェイスブックの友達も、あなたがその状況を脱するための手伝いにはきてくれないでしょう。
助けてくれるのは、血の通った親友であり、面と向かって友情を築き上げた友人なのです。


ビル・マッキベンという環境ジャーナリストは、アメリカ人が自分が危機に直面したときに電話をかけられると信じる近い友人の数の平均を調べました。
その数はなんと1950年台から確実に減ってきています。
私達は床スペースと友人を交換して、ものと繋がりを交換しました。

そしてその結果、私達は過去に例を見ないほど、孤独な社会の中にいることになってしまったのです。

「ネズミの公園」実験を行ったブルース・アレクサンダーは言いました。
「私たちは中毒に関して常に個々の回復について話をします。その話をするのは別にいいのですが、私たちはそれよりももっとたくさん社会の回復について話をするべきなのです」
これらを学んで、長い旅から戻ったあと、私は自分の人生の中にある中毒について振り返りました。

誰でも少しは中毒者を見て、「誰かがあなたを止めてくれたらいいのに」と思うことがあるでしょう。

そして、中毒者を説得しようとする周囲の人たちは
「前向きに進歩しないなら、絶縁だ」とか言うわけです。
彼らがしていることは、中毒者とのつながりを利用し、脅し、
中毒者が自分たちの望むようなふるまいをするよう条件を出すのです。

そして、なんでこの方法がうまくいかないのか私にはわかり始めました。
そしてこう思ったのです。
「これではまるで薬物戦争の論理を、自分たちのプライベートな生活に持ち込んでいるようなものだと。」

そして、どうやってポルトガル流になれるかを考えました。
私が試みたこと、それは決して簡単なこととはいえないし、私自身継続的に行えているわけではないのですが、

私の身近な中毒者に
「私はあなたと深いつながりをもちたい」と伝えるのです。

そして「薬物を使っていても、そうでなくても、私はあなたを変わらず愛しているよ。あなたがどんな状態であっても、もしあなたが私を必要とするなら、私はいつでもあなたのためにやって来る。なぜなら、私はあなたを愛していてあなたを1人にしたくないし、孤独を感じてほしくないからです」と思いを伝えるのです。


今まで100年間、私たちは中毒に対して戦歌を歌ってきました。
ですが、これからは、彼等にラブソングを歌ってあげるべきだと私は思うのです。
なぜなら、中毒の反対は平静ではないからです。中毒の反対はつながりなのです。

感想: 中毒を治す方法、それは人や社会とのつながり 

このスピーチは胸にささるものがありました。
そして「中毒」「依存症」に対して深く考えさせられました。

最近ニュースでも話題ですよね。ある有名人が薬をしていたり、依存症になっていたり・・・。
有名人だけに限らず、日本や世界中で中毒、依存症に苦しんでいる人はたくさんいると思います。


こういった中毒、依存症に対して、
昔からある価値観や物の見方、自分たちののぞむようなふるまいを押し付けては一向になくならないのではと思います。

お説教や罰したりなどは誰でもできること。

ポルトガルで50%もの薬物利用をなくした例のように、社会で取り組んで、中毒者を社会からのけものにして、つながりを断つようなことはせずに、
中毒に陥ってしまった人と社会の繋がりをもたせてあげる、こういった考えで取り組んでいけば、また社会も変わっていき、中毒者も心を改めて、社会へ復帰できる可能性が大きくなる。


現代は、薬物中毒、アルコール依存症、スマホ依存症、買い物依存症、ゲーム依存症など様々な依存症があります。
どの中毒、依存症の人も「やめたくてもやめれない」苦しさとたたかっていると思います。
その人達と心から向き合うためには、自分の価値観を押し付けて説教するのではなく、
相手の立場になって寄り添うこと。

再就職のあっせんや小さなローンを組めたりできるようにさせるといったことは、私達個人でできることではありませんが、
「あなたは決してひとりじゃない。そばに必ずいるよ。」と伝えてあげてつながりを持たせることは私達一人ひとりでもできることであり、
何より助けてあげたい依存症患者を克服するのには大事なことなのではと思います。


ネズミを使った実験など、個人的に色々考えさせられる動画でした。
もし周りに中毒、依存症とたたかっている方などがいましたら、この動画をぜひ参考にしてみてください。

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